更新日:2014年3月25日
毎月第1・第3木曜日の公民館実習室。所狭しと動き回るのは、町ボランティア協議会の皆さんだ。お昼に間に合うようにと、大量のお弁当作りをてきぱきと進めていく。
会の活動の大きな柱となっているのが、この「ふれあい食事サービス」だ。町内に1人で住んでいて、炊事や外出が困難な75歳以上の人を対象に、お弁当を届けているのだ。
栄養のバランスも考えられたお弁当は、毎回140食近くも配られる。配達係がそれぞれのお宅に直接届け、お年寄りと会話を交わすことで、元気に暮らしているか確認する重要な役割も果たしている。
お弁当を調理し、配達するボランティアの皆さんなくして成り立たないこのサービスだが、この活動を陰ながら支える大きな力がある。町内に工場を持つ、みそ製造大手メーカー「ハナマルキ(株)」だ。
ハナマルキ(株)では、おみそをはじめ、おみその原料である大豆、おみそ汁を入れる容器などを町ボランティア協議会に提供している。提供された品は、おみそ汁や、お弁当を彩るおかずへと姿を変え、対象者へと届けられている。
ハナマルキ(株)がみそなどを提供するようになったのは、ここ1年ほどのこと。町ボランティア協議会の活動を知り、ハナマルキ(株)が、おみその提供に動いたのだ。毎回限られた予算でやりくりをしている会としては、そういった企業とのつながりを「すごく助かります」と喜んでいる。
会員さんにおみその評判を聞いてみると、「おいしいですよ!」と即時に答えが返ってきた。「おかわりしたいぐらい!」なのだそうだ。
お弁当が届けられるお年寄りからも、おみその味はすこぶる評判だという。
こうした声を直接聞いたハナマルキ(株)の皆さんは、少し照れくさそうだが、誇らしげにも見える。
初めてお弁当調理の場を目にしたというハナマルキ(株)馬上浩一総務課長は、「こんなにおおぜいの人たちが調理しているんですね」と驚いた様子。そして、「このボランティア活動に、こうして貢献できて光栄です」と胸を張る。ハナマルキ(株)篠原一哉さんは、「消費者の皆さんと直接ふれ合えてうれしいです」と話し、皆さんが喜んでいる姿を実感したよう。同じく、ハナマルキ(株)大園隆馬係長は、「小さなことでも、何か地域のためにできることがあれば」と、思いを口にした。
“地域のために”始まった支援が、今やボランティア活動を行ううえで欠かせないものになった。心を込めて作られるお弁当は、企業の協力に支えられながら、楽しみにしているお年寄りへと届けられているのだ。